アプリケーションについて
AXIS Image Health Analyticsは、シーンの挙動を分析・学習し、画像の変更を検出するAIベースのアプリケーションです。対応するAxisカメラでアプリケーションを使用し、画像の劣化や(カメラに対する)いたずらを検知します。
アプリケーションは画像の以下のような変化を検知することができます。
遮られた画像
向きを変更された画像
画像がぼやける
露出不足
Axis装置のイベント管理システム、またはサードパーティ製ソフトウェアを使用すると、検知に基づいてアクションをトリガーできます。たとえば、カメラの清掃をスタッフに通知したり、セキュリティスタッフに警告を発したりできます。
AXIS Image Health Analyticsを含むAxisカメラの全一覧については、axis.com/products/axis-image-health-analytics#compatible-productsを参照してください。
検討事項
AXIS Image Health Analyticsは、シーンの挙動を分析・学習し、画像の劣化や(カメラに対する)いたずらを検知します。画像の変化を検知すると、イベントを送信します。AXIS ImageHealth Analyticsを設定し、イベントのルールを作成する前に、以下の点を考慮してください。
この章の考慮事項は一般的なものです。製品固有の考慮事項については、help.axis.comでお使いのカメラのユーザーマニュアルを参照してください。
変化がほとんどないシーン
目立った特徴や細部がないシーンでは、画像の変化を検知することが難しくなります。これは、草原や何もない壁、暗い部屋など、背景にほとんど変化がないシーンでよく見られます。
シーン要件の詳細については、シーンの適性を参照してください。
急激な光の変化
ライトを点けたり消したりすると、シーンに急激な変化が生じます。IRが内蔵されていないカメラや十分な投光器がないカメラでは、画像が突然暗くなると、露出不足と画像ブロックの両方によるイベントが送信されます。IR内蔵カメラでは、突然の光量低下によって、ナイトモードへの切り替え中にイベントが送信されることがあります。
照明を点灯すると、影ができるなど、シーンの見え方がガラリと変わることもあります。
視界を遮る物体
アプリケーションは、何かがカメラの視界を遮ったことは検知できますが、その意図を判断することはできません。たとえば、カメラの前にトラックやバスが停車して視界が遮られると、画像が遮られたとしてイベントが送信されます。
カメラの視界が完全に遮られると、画像にフォーカスが合わなくなり、暗くなることもあります。そのような場合は、遮られた画像、不鮮明な画像、および露出不足の画像のイベントが同時に送信されることがあります。
カメラの前の蜘蛛の巣
カメラの前に蜘蛛の巣があるのはよくある問題で、特に夜間、赤外線照明付きカメラでは蜘蛛の巣が画像に映り込むことがあります。
アプリケーションは、遮られた画像やぼやけた画像のイベントを送信することで、カメラ前にある蜘蛛の巣の問題を監視するのに役立ちますが、蜘蛛がビューを横切って移動し続ける場合、何度もイベントが送信される可能性があります。
アプリケーションのオフ
アプリケーションをオフにし、再度オンにすると、シーンの挙動が再学習されます。シーンの再学習の詳細については、シーンの学習と再学習を参照してください。
プライバシーマスク
すでにAXIS ImageHealth Analyticsを実行しているカメラビューにプライバシーマスクを追加すると、マスクで画像が遮られたとしてイベントが送信されることがあります。画像内にプライバシーマスクがある状態で、シーンの挙動を再学習させるには、アプリケーションを再起動します。ただし、マスクされたエリアでは検知は行われません。シーンの再学習の詳細については、シーンの学習と再学習を参照してください。
開始する
カメラのWebインターフェースで、[Analytics] > [AXIS Image Health Analytics]に移動します。
アプリケーションを起動するには、[Start (開始)]をクリックします。
[Open (開く)]をクリックして、アプリケーションを新しいブラウザタブで開きます。
検知したい画像の変更を選択します。
すべての検知設定はデフォルトでオンになっています。
遮られた画像:ビューが遮られたときにイベントを送信します。
向きを変更された画像:ビューの元の向きが変更されたときにイベントを送信します。
不鮮明な画像:画像が不鮮明なときにイベントを送信します。
露出不足:画像が暗くなり過ぎたときにイベントを送信します。
- 検知設定の詳細については、検知とイベントを参照してください。
各検知設定の感度スライダーを調整することができます。
値を高くすると、画像の変化に敏感になります。詳細については、画像の変化への感度を参照してください。
[Validation period (検証期間)]に移動し、各検出設定に秒単位の時間閾値を設定します。
設定した期間中に画像に変更が生じたらイベントを送信させる場合にだけ、検証期間は機能します。詳細については、検証期間を参照してください。
アプリケーションの設定
イベントのルールを設定する
詳細については、ガイド「イベントのルールの使用開始」を参照してください。
画像が60秒間遮られたら電子メールを送信する
この例では、カメラのWebインターフェースで、駐車中のトラックなどで画像が60秒以上遮られた場合に電子メールを送信するルールを設定する方法を説明します。
開始する前に、以下をご確認ください。
カメラのWebインターフェースで電子メールの受信者を作成します。
- AXIS Image Health Analyticsで次の手順を実行します。
[Blocked image (遮られた画像)]をオンにします。
[Validation period (検証期間)]を
60
秒に設定します。- カメラのwebインターフェースで次の操作を行います。
[System (システム)] > [Events (イベント)]に移動して、[+ Add a rule (ルールを追加)]をクリックします。
ルールの名前を入力します。
[Application (アプリケーション)]の条件リストで[Image Health Analytics – Block (遮られた状態)]を選択します。
アクションのリストで、[Notifications (通知)] の下の [Send notification to email (通知を電子メールに送信)] を選択します。
リストから送信先を選択します。
電子メールの件名とメッセージを入力します。
[保存] をクリックします。
詳細情報
検知とイベント
AXIS Image Health Analyticsは、以下のような画像の変化を検知できます。
遮られた画像:カメラに何かが覆いかぶさっている場合など、画像やカメラの視界が遮られた場合に検知します。
向きを変更された画像:誰かがカメラを動かした場合など、元の視界の向きが変わったときに検知します。
不鮮明な画像:レンズについた雨滴などで画像がぼやけた場合に検知します。
露出不足:シーン内の光源が突然消えた場合など、画像が暗すぎる場合に検知します。
デフォルトでは、これらの変更をすべて検知するように設定されています。検知が発生すると、イベントが送信されます。装置のイベント管理システムまたはVMSで、これらのイベントに基づいてルールを設定できます。 シーンの適性に応じたルール設定も可能です。
検知時にイベントを送信するだけでなく、検知された画像の変化が元に戻ったときにもイベントを送信します。
シーンの適性
AXIS Image Health Analyticsをオンにすると、すぐに分析が開始され、シーンの挙動が学習されます。シーンに明確な特徴や詳細がない場合、変化を検知しにくくなります。その場合、シーンが不適切であることが通知されます。
シーンは連続的に分析されます。たとえば、カメラのズームレベルを変更したり、カメラを移動させたり向きを変えたりすると、適性が変わる可能性があります。
シーンが不適切な場合、アプリケーションは、遮られた画像、ぼやけた画像、向きを変更された画像のイベントを送信できません。適否にかかわらず、画像が露出不足の場合はイベントが送信されます。
シーンの学習と再学習
AXIS Image Health Analyticsは、シーンの挙動を学習し、何かが変化すると検知します。アプリケーションをオフにし、再度オンにすると、シーンの挙動が再学習されます。シーンが不適切から適切に変化したときも再学習が行われます。
カメラビューを変更する場合は、アプリケーションをオフにし、カメラビューを調整してから再度オンにしてください。
画像の変化への感度
画像の変化に対するアプリケーションの感度を増減できます。感度が高いほど、アプリケーションによるイベントの送信に必要な画像の変化が少なくなり、ほとんどの場合、送信されるイベントの数が増えます。一方、感度が低いと、より多くの画像の変化が必要であるため、送信イベント数が減少する可能性が高くなります。
遮られた画像:感度は、シーン学習時の画像の様子と比較して、画像がどの程度遮られたりしているかに影響されます。
向きを変更された画像:感度は、シーン学習時の画像の様子と比較して、画像がどの程度見えるのかに影響されます。
不鮮明な画像:感度は、シーン学習時の画像の様子と比較して、画像がどの程度ぼやけているのかに影響されます。
露出不足:感度は画像の露出不足の度合いに影響されます。
検証期間
AXIS Image Health Analyticsでは、検知設定ごとに検証期間を設定できます。検証期間は時間閾値として機能し、設定した期間中に変更が生じたらイベントを送信させる場合にだけ機能します。
例
シーンでは、配送トラックがカメラの前に一時停車し、カメラの視界を遮るリスクがあります。カメラの表示が2分間遮られた場合にのみ通知を受け取りたい場合は、AXIS Image Health Analyticsの検証期間を120秒に設定します。
統合
AXIS Camera Stationでアラームを設定する
この例では、AXIS Camera Stationにルールを設定して、AXIS Image Health Analyticsが画像変更を検知したときにオペレータにアラートを出し、ビデオを録画する方法について説明します。
開始する前に
- 貴社に必要な製品:
AXIS Image Health Analyticsが設定されて実行中のAxisネットワークカメラについては、開始するを参照してください。
AXIS Camera Stationをインストール済みのコンピューター1台
- AXIS Camera Stationにカメラを追加します
AXIS Camera Stationで、カメラを追加します。AXIS Camera Stationユーザーズマニュアルを参照してください。
- デバイスイベントトリガーを作成する
をクリックして[Configuration (設定)] > [Recording and events (録画とイベント)] > [Action rules (アクションルール)]に移動し、[New (新規)]をクリックします。
[追加] をクリックしてトリガーを追加します。
トリガーのリストから [Device event (デバイスイベント)] を選択し、[OK] をクリックします。
[Configure device event trigger (デバイスイベントトリガーを設定)] セクションで次の設定を行います。
[Device (デバイス)] でカメラを選択します。
[Event (イベント)]で、[AXIS Image Health Analytics]のいずれかのオプションを選択します。
[トリガー時間] で連続する2つのトリガーの間隔を設定します。この機能は、連続する録画の回数を減らすために使用します。この間隔中に別のトリガーが発生しても、録画は継続され、トリガー時間はその時点から再度カウントされます。
[Filters (フィルター)] で [active (アクティブ)] を [Yes (はい)] に設定します。
[Ok] をクリックします。
- アラームを発して映像を録画するアクションを作成する
Next (次へ) をクリックします。
[追加] をクリックしてアクションを追加します。
アクションのリストから [Raise alarm (アラームを発する)] を選択し、[Ok] をクリックします。
- 注
アラームメッセージは、アラームが発生したときにオペレーターが確認します。
[Alarm message (アラームメッセージ)] セクションで、アラームのタイトルと説明を入力します。
[Ok] をクリックします。
[Add (追加)] をクリックして他のアクションを追加します。
アクションのリストから [Record (録画)] を選択し、[Ok] をクリックします。
カメラのリストから、録画に使用するカメラを選択します。
プロファイルを選択し、プリバッファとポストバッファを設定します。
[Ok] をクリックします。
- アラームをいつ有効化するかを指定します
Next (次へ) をクリックします。
アラームを特定の時間だけ有効にする場合は、[Custom schedule (カスタムスケジュール)] を選択します。
リストからスケジュールを選択します。
Next (次へ) をクリックします。
アクションルールの名前を入力します。
Finish (終了) をクリックします。
監視ガイド
AXIS Image Health Analyticsは、外部要因またはカメラ自体が原因の一般的な画像の健全性の問題を監視するのに役立ちます。AXIS Image Health Analyticsに基づくアラームが発生した場合は、アラームのタイプに応じたこのステップバイステップガイドに従って、取るべき対策を確認してください。
露出不足アラーム
デイモードのアラーム | ||
---|---|---|
カメラはデフォルト設定で動作していますか? | 必要 | カメラのデイナイトモードの閾値を確認してください。デイモードの時間が長いほど、低光量状態で露出不足になるリスクが高くなります。 詳細については、カメラのユーザーズマニュアルを参照してください。 |
なし | カメラの画像設定を確認してください。低ゲインでシャッター速度が速いと、低光量では画像が暗くなり、露出不足のリスクが高まります。 詳細については、カメラのユーザーズマニュアルを参照してください。 |
ないとモードのアラーム | ||
---|---|---|
カメラにIRは内蔵されていますか? | 必要 |
|
なし |
|
不鮮明画像アラーム
フォーカス問題によるアラーム | ||
---|---|---|
繰り返し起こる問題ですか? | はい |
|
いいえ |
|
外部要因によるアラーム | ||
---|---|---|
何かがカメラを覆っていますか? | はい |
|
いいえ |
|
トラブルシューティング
適性の問題 | |
---|---|
... シーンに明確な特徴がない | ズームアウトしたり、カメラを動かすなどして、カメラの視野を調整してみてください。変化を検知するためには、画像に詳細や明確な特徴が必要です。詳細については、シーンの適性を参照してください。 |
誤報の問題に関する対処法 | |
---|---|
... 雨や雪の飛沫によるもの | ウェザーシールドを使ってみてください。ウェザーシールドは通常、屋外対応カメラ/屋外対応のカメラに付属しているか、オプションのアクセサリーとして用意されています。 |
,,, 太陽からの反射によるもの | ウェザーシールドやサンシールドを使ってみてください。ウェザーシールドまたはサンシールドは通常、屋外対応カメラ/屋外対応のカメラに付属しているか、オプションのアクセサリーとして用意されています。 |
... カメラが自動的に画像を回転させるため | カメラによっては、自動回転に対応しています。カメラのWebインターフェースで[Video (ビデオ)] > [Installation (インストール)] > [Rotate (回転)]に移動して、[Auto (オート)]ではなく回転角度を選択してください。 |
... 近づく車のヘッドライトによるもの | 対象範囲に道路がある場合のみ、シーンに道路を含めるようにしてください。赤外線照明付きのカメラは通常、急な光の変化にも対応できますが、強いヘッドライトが当たると、ナイト(白黒)モードからデイ(カラー)モードに切り替わり、シーンが一変することがあります。 |
... 影や突然の光の変化によるもの | 内蔵IRのないカメラのの場合は、IRまたは白色LED照明をシーンに追加してみてください。照明が不十分で影ができたり、突然光がなくなったりすると、シーンが変わってしまいます。 内蔵IR搭載カメラの場合、空が見えすぎる場合など、ナイトモードへの切り替えが遅れることがあります。カメラのWebインターフェースでカメラビューや露出ゾーンを調整し、空の露出を少なくしてみてください。検証期間の設定で、ナイトモードに切り替わる時間に余裕を持たす閾値を追加することもできます。詳細については、検証期間を参照してください。 |
... プライバシーマスク使用時 | アプリケーションを再起動してみてください。すでにAXIS Image Health Analyticsを実行しているカメラビューにプライバシーマスクを追加すると、シーンの挙動の再学習が必要になることがあります。 |
... 蜘蛛の巣と蜘蛛がカメラビュー上を移動するため | 蜘蛛がカメラに寄ってこないように、外部赤外線照明を使うようにしてください。 |
アラームが通知されない問題に関する対処法 | |
---|---|
... 画像が遮られたか方向が変更された場合 | ビューが10分以上遮られたり向きを変えられたりりすると、シーンの挙動が再学習され、新しいシーンに基づいて検知が行われます。 画像が遮られるか向きが変わってトリガーされたら確実に対処できるようにしてください。 |
サポートに問い合わせる
さらにサポートが必要な場合は、axis.com/supportにアクセスしてください。